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小西俊也助手(通信教育課程研究室)インタビュー
聞き手:サダヒロカズノリ氏(グラフィックデザイナー・本学非常勤講師)

・小西さんのこれまでの制作はどういうものですか?

:まったくまとめられてなくて、うまくしゃべれないんですよ。その時々でテキストが必要になるじゃないですか。修了制作だったらドキュメントを作らないといけないし、そこに制作意図も書かなきゃいけないんですけど、何かしっくりきてないんですよね。実はまとめようともしてないんですけど(笑)。でも「映像を考える」っていうのは軸になってると思うんですよね。作品として発表する時に、常にプロジェクターから投影される映像を使ってるってことは一貫してるんです。


・プロジェクターの映像に惹き付けられている理由はどんなところですか。

:それも探っているところなんですけど、すごく自由なんですよね。映像が。例えばテレビモニターで見る時の映像は、何をしゃべってる、とか、誰がしゃべってる、とか、「モニターで映像が流れてるよ」っていうことは排除されて、映像の中の状況とか内容だけを伝えてくれますよね。そういう作品ももちろん存在しますけど、すごく映像がひとつ枠の中に収まってる気がするんですよ。 でもプロジェクターで投影される時の映像は「素材」として見ていて。映像って、何をしゃべる、誰がしゃべるっていう以前に光の現象だっていうことを考えているし、そこを捉えて作品化したいと思っています。きっと(笑)。モニターで見せる映像作品を作れって言われても本当にアイディアが浮かばないし、あんまり面白いもの作れない気がして。
:窮屈になっちゃうってことなのかね。枠に入っちゃって。
:作り方を切り替えないとダメだと思うんですよね。プロジェクターから映像が出るっていうことは、引けばめちゃくちゃ大きい画面になるし、デコボコしたところに映せばデコボコした画になるし、映像の内容が壊れちゃうんですよね。ピントがあってなければ見えなくなっちゃうし。それで僕はそのソフトの問題と、それを何に投影するかっていう支持体の問題を考えてるんですよね。何に映像を投影すればどんな現象としてそこに立ち現れるかっていうことをいろんなスクリーンで試してて、まだその途中なんです。作品を発表するチャンスがあるごとにスクリーンを考えてるんですけど、そこも複雑で、展示する場所が決まらないと作品も考えにくくて。場所ありきですね。ここだったら何が面白いんだろうかっていうことを考えた時に、いろいろ理屈を付けたりとか。直感のときもありますけど。視覚的に見たとこがない映像表現っていうものを見たいって、ただそれだけかもしれない。


・同じ光の現象だと「照明」もありますが、やはり小西さんは「映像」なんでしょうか。モーションがあるものもありますよね。

:ちょっとだけ内容もほしいんですよ(笑)。
:時間の流れというかね。
:そうですね。シルエットだけ、とかでも、やっぱりもうちょっと欲しくなっちゃうんですよね。確かに照明として映像を捉えてはいるんですよ。そう考えるとすごく自由じゃないですか。人も登場させられるし色も変えられるし。照明だと情報量が足りないんですよね。
:自分が伝えたいものの情報量が足りないっていうことだね。
:結局「情報伝達メディア」なわけですから、映像は。そこを利用しているんだろうな。


・「情報」は具体的なモチーフですか?

:作品によりますけど、何を撮るかってあんまり考えてないんですよね。「何を撮るか」より「何を投影するか」を考えてます。
:作業としては撮るときと投影するときがあるんだもんね。
:投影するための映像をつくろうとしてるから。誰かに何かを教えるための映像じゃなくて、あと、記録のためでもないし。例えばいまこの黒板に何を投影したら面白いんだろうとか、自分が伝えたいことが伝わるんだろうとか。そこから考える。
:逆算して撮影するんだね。
:そうですね。いま気がつきました(笑)。
:ジャーナリズムは「これを撮りたいから」撮ってるかもしれないもんね。


・アニメーションになる可能性とかはないですか?

:いや、あるかもしれないですね。そこは手を付けてない部分。ただ今はまだ実写で考えてますね。空間は同じだけど時間軸はずれてる、っていう作品なんですよ、最近。だから、その空間がある程度描写されていないと作品として成立しない。そういうことからまだ実写です。
:アニメだと全部フィクションになってしまう。どこかフィクションじゃないところがほしいのかもしれないね。



interviewer
高橋奈保子(視覚伝達デザイン学科研究室助手)
黒澤誠人(美術資料図書館)